みなみ「“会社のことはよく知らんけど、あの人がいるなら信頼できる”って、ありますよね」

午後のやや眠たい時間。みなみちゃんがぽそっと言った。


ニシ「あー、それあるある」
ニシオカが手を上げる。

ニシ「高校のときの先輩が働いてる会社で、よくわからんけどその人が推薦してたから応募したことあるもん。」

みなみ「でもそれって、すごい影響力ですよね……“会社より人”で選ばれてるってことですし」とみなみちゃん。

イタ「うちは特に中小やから、“誰がいるか”のほうが重要かもなぁ」

AIちゃん「つまり、“その人の存在そのものがPRになってる”ってことだね」

みなみ「でも、あんまり“推される存在”になると、プレッシャーも大きそう……」


そのときだった。

ドォン……とわずかに空気が揺れる。

イタ「あ、来たな」
イタルが窓の方を見る。

案の定、巨大なユウジロウが窓の外に立っていた。
ツーブロックの髪型に薄い顎ひげ。いつも通り無表情……のようで、よく見ると、少しだけ目元がやわらかい。

ユウ「“存在感”は、設計できない。滲み出るものです。」

低く、静かな声で、ユウは語り出す。

ユウ「誰かの振る舞い、言葉、沈黙、背中。それらが時間と共に積み重なり、“この人がいる会社なら”という“語られ方”を作る。」

ニシ「……たしかに、“あの人が辞めたから、この会社も終わりかな”って言われるときもあるしな」とニシオカがぽつり。

みなみ「存在が会社の“顔”になるって、責任重大ですよね」

イタ「せやけど、それって誇らしいことでもあるで。“人で語られる会社”って、実は一番、あったかいかもしれん」

AIちゃん「そういう人って、“語ろう”と思って語られてるわけじゃないですもんね。気がついたら、みんながその人の話をしてる感じで」

ユウは、ふっと視線を外して、遠くの空を見上げた。

そして、また静かに背を向けた。

みなみ「語られる人になれるかどうかは、“正しくあろう”とした時間の積み重ねだと思うんですよね」
みなみちゃんが小さくつぶやいた。

そしてそのとき、みんなの中に“あるひとりの同僚”の顔が、自然と浮かんでいた。

“あの人がいるから、大丈夫”

そんなふうに言われる存在が、組織に一人でもいるかどうか。
それが、会社の“語られ方”を決めるのかもしれない。

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“存在感”は、設計できない。滲み出るものです。

▶第26話「社内イベントって、意味あるんですか?」

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 ※この物語は概ねフィクションです。実在の人物や組織と関係のある話題もたまにありますが、実際には関係のない話が多分に含まれております。