みなみ「……MAXくん、さっきの話って必要でした?」

みなみちゃんが少し苦笑いしながら、缶コーヒーを手に言った。

MAX「えっ、あっ、ごめんなさい……雑談が長かったですよね」

みなみ「いや、怒ってるわけじゃなくて……あの、朝の猫の話とか、昨日の筋トレメニューとか、めちゃどうでもいい感じがして……」

MAX「そうですか?でも、A社の担当さん、あれ話してから、急に話しかけやすくなったって言ってくれたんです。」

みなみ「……えっ、ほんとに?」

MAX「雑談って、たぶん、“話していい空気”をつくるものだと思うんですよね」

そう言いながら、MAXくんのふだんの細い目が、ふわっとさらに笑う。

そこへ、イタルとニシオカがコーヒー片手にやってきた。

イタ「ええ話してるやん。雑談は“意味がない”からええんよ。“機能”を超えて“人間”を出せる場やから。」

ニシ「なるほどなあ、うちのシステム、むずかしいって言われがちやけど、MAXくんの雑談が“この会社、感じいいな”って印象につながってる可能性はあるかもな。」

みなみ「……雑談って、PRになるんですね」

AIちゃん「むしろ、“雑談せずに本音だけでPRする”って、けっこう無理あるで」

みなみ「じゃあ、もっと雑談、がんばってみようかな……」

MAXくんが嬉しそうにうなずいた。

MAX「じゃあ、みなみさんも、今日から“胸筋トレーニング”やりますか?」

みなみ「それは、ちょっと違うと思います」

みんなの笑い声が、夕方のオフィスに、ふわっと広がった。

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雑談は“意味がない”からええんよ。

▶第21話「信頼って、数字で測れるんですか?」

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 ※この物語は概ねフィクションです。実在の人物や組織と関係のある話題もたまにありますが、実際には関係のない話が多分に含まれております。