第18話「“うまくいかなかった話”は伝えていいんですか?」

みなみ「……それ、言わないほうがよくないですか?」
みなみちゃんが、PC画面をのぞきこみながら小声でつぶやいた。
サポート対応履歴に、“設定ミスにより再送対応”という記録が残っている。
ニシ「ええやん、ちゃんと謝って、対処もしてるんやし」
みなみ「でも……失敗を載せたら、“この会社大丈夫?”って思われたり……」
イタルが、穏やかに言葉をつなぐ。
イタ「そやけどな、ミスが起きるのはしゃあない。でも、それをどう対応したかってところに、“信頼”が出るんやで。」
そこへ、MAXくんが、書類を片手にやってきた。
MAX「すみません、昨日のリモート設定の件、ぼくの説明が足りてなくて、お客さま困らせてしまいました……。でも、今朝電話でフォローしたら、かえって“ありがとう”って言ってもらえて……」
MAXくんは、にこやかに目を細めて笑った。自分の失敗を、まるで「ちょっとした出来事」のように、あっけらかんと話している。
ニシ「MAXくん、ようそんな話、すっとできるな。いや、感心してるねんで。」
MAX「ぼく、新人なんで、正直に言うほうが、お客さんも構えてくれなくなる気がしてるんですよね。」
イタ「……それ、大切な感覚やな」
AIちゃん「“うまくいかなかった話”って、うまく伝えられたら、“人間らしさ”が見える気がする」
みなみちゃんは、小さく頷いた。
みなみ「……“自分のせいじゃないです”って書くより、ずっと誠実ですね。」
MAXくんの笑顔には、失敗を語ることを恐れない、ささやかな勇気があった。

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※この物語は概ねフィクションです。実在の人物や組織と関係のある話題もたまにありますが、実際には関係のない話が多分に含まれております。