みなみ「……それ、言わないほうがよくないですか?」

みなみちゃんが、PC画面をのぞきこみながら小声でつぶやいた。

サポート対応履歴に、“設定ミスにより再送対応”という記録が残っている。


ニシ「ええやん、ちゃんと謝って、対処もしてるんやし」

みなみ「でも……失敗を載せたら、“この会社大丈夫?”って思われたり……」

イタルが、穏やかに言葉をつなぐ。

イタ「そやけどな、ミスが起きるのはしゃあない。でも、それをどう対応したかってところに、“信頼”が出るんやで。」

そこへ、MAXくんが、書類を片手にやってきた。

MAX「すみません、昨日のリモート設定の件、ぼくの説明が足りてなくて、お客さま困らせてしまいました……。でも、今朝電話でフォローしたら、かえって“ありがとう”って言ってもらえて……」

MAXくんは、にこやかに目を細めて笑った。自分の失敗を、まるで「ちょっとした出来事」のように、あっけらかんと話している。

ニシ「MAXくん、ようそんな話、すっとできるな。いや、感心してるねんで。」

MAX「ぼく、新人なんで、正直に言うほうが、お客さんも構えてくれなくなる気がしてるんですよね。」

イタ「……それ、大切な感覚やな」

AIちゃん「“うまくいかなかった話”って、うまく伝えられたら、“人間らしさ”が見える気がする」

みなみちゃんは、小さく頷いた。

みなみ「……“自分のせいじゃないです”って書くより、ずっと誠実ですね。」

MAXくんの笑顔には、失敗を語ることを恐れない、ささやかな勇気があった。

画像
実際よりもすこし大きい気がする

▶第19話「“共感”って、作れるんでしょうか?」

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 ※この物語は概ねフィクションです。実在の人物や組織と関係のある話題もたまにありますが、実際には関係のない話が多分に含まれております。