イタ「なあ、AIちゃん。“うちの会社の顔って、誰”やと思う?」

イタルが、社屋の裏で缶コーヒーを片手にベンチに座りながら、ぽつりとつぶやいた。

AIちゃん「“会社の顔”?広告塔的な意味なら、Itaruさんけっこう目立ってるけどね」とAIちゃんがにやっと笑う。

イタ「ちゃうちゃう。もっとこう、“あの人がいるからこのシステム安心して使える”って、ユーザーさんが感じるような存在のこと。」

ニシ「なるほど……“顔”って、社長や広報より、むしろサポート担当かもしれませんね」

イタ「そう。“あの人”の一言に救われたとか、“この人が担当だから続けてる”って話、よう聞くやろ?」

ちょうどそのとき、少し離れたところで、若い社員が電話を終えて深く頭を下げていた。

???「はい、本当に申し訳ございません。設定変更の手順書、すぐにメールで送らせていただきます!」

白Tシャツの青年。がっしりした体型に、ツンツン刈り上げのフェードカット。名前はMAXくん。最近システムサポート部に配属された新入社員だ。

「お、MAXくんやん」とニシオカが声を低くして言う。

イタ「メールだけやなくて、直接電話も入れて謝ってたな。ちゃんと相手の“困ってる感じ”を拾ってるんやな。」

ニシ「うちのBtoBシステム、仕様が複雑な分、“誰が案内してくれるか”で印象がまったく変わりますからね」

イタ「ほんまに。MAXくん、まだ新人やけど、声のトーンもええし、返事が早い。あの感じ、信用生むで。」

MAXくんはPCに戻ると、すぐに丁寧な手順書を送信していた。メールの末尾には「ご不明点ございましたら、お気軽にご連絡ください。」と添えられている。

イタルは小さく笑った。

イタ「……うちの会社の“顔”って、案外こういうとこにおるんかもしれんな。」

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▶第18話「“うまくいかなかった話”は伝えていいんですか?」

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 ※この物語は概ねフィクションです。実在の人物や組織と関係のある話題もたまにありますが、実際には関係のない話が多分に含まれております。