イタ「なあ、AIちゃん。“伝える”って、どういうことなんやろな?」

イタルが芝生の上で体育座りしながら、土に枝でゆっくり線を引いていた。

ニシ「また哲学モードや……」

ニシオカが苦笑しつつ、コーヒーをひと口飲んだ。


イタ「ちゃんと話したつもりでも、伝わってなかったりすると、もやもやするやん」

ニシ「うん、それ、あるわ」

イタ「“それ、そういう意味ちゃうねんけどな〜”っていうズレ。なんで伝わらんのやろって、悩むやつ」

AIちゃんはしゃがみこんで、クローバーをいじりながら答えた。

AIちゃん「“伝える”って、“自分の言葉を相手にコピーする”んじゃなくて、“相手の中に世界をつくること”。だからズレが出るのは、ある意味当然」

イタ「せやけど、ズレたままやと不安にもなるんよな」

そのとき、後ろから声がした。


???「……す、すいません。あの……ここって、“PR研究会”って聞いたんですけど……」

三人が振り返ると、Tシャツに黒パンツ姿の女の子が立っていた。茶髪のボブヘアに、黒縁メガネ。大きなハスキー犬が彼女の隣に座っていて、リードを握る手が少し震えている。

イタ「あ……この前、犬に引っ張られてた子やんな?」

???「えっ!?見られてました!?あの、すみません……」

彼女はお辞儀しながら、メガネを押さえた。

ニシ「名前は……?」

みなみ「みなみです。今日からカスタマーサポートに配属されて。で、先輩に“PRに興味あるなら行っとき”って言われて……」

イタルが隣の芝をぽんぽんと叩いた。

イタ「そっか。じゃあまずは一緒に座ってみよか。犬もいっしょに」

みなみちゃんはおそるおそる腰を下ろし、犬もその横で伏せた。


みなみ「……わたし、人にうまく伝えるのが、昔から苦手で……でも、ちゃんと伝えられるようになりたくて……ここに来ました」

AIちゃんが、ふっと笑って言った。

AIちゃん「ようこそ。“伝えるのに悩んでる人たちの集まり”へ」

風が吹き、クローバーの葉が揺れた。

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伝えるのに悩んでいる人たちの集い

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 ※この物語は概ねフィクションです。実在の人物や組織と関係のある話題もたまにありますが、実際には関係のない話が多分に含まれております。